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NSSBの日々の活動や、 その時の気持ちを投稿しています。 小さなブランドですが、 今後県外や海外に大きく飛躍していく 成長日記となればと思っています。

NSSB小説

334.給食費を盗んだのは誰だ④

334.給食費を盗んだのは誰だ④


4. 裏切り



5人は非常階段を駆け上がると、勢い良く6階まで駆け上がった。



五十嵐が案内した「安全な場所」とは、
ほんの15分前に黒い奴らに襲われた、6年10組のオレ達の教室だった。


教室の外から中の様子を見て、誰もいないことを確認すると、
中に入るように五十嵐が目で指示した。五十嵐に次いで皆が教室に入った。




「おい!ここはさっき黒い奴らが来た場所だぞ!」
オレが五十嵐に厳しく小声で言った。
「だからこそ良いんだ。同じ場所を探しに来る確率は低いよ。」

五十嵐が平然と答えた。




「確かに誰もいないようだね。良かったー」
猿が気の抜けた声を出す。



「ねえ、これからどうしようか?伊良部君。」
石井がお決まりのセリフを出す。




伊良部はここでリーダーシップを取りたそうだが、ここから抜け出る妙案が思いつかないらしく、腕を組んで黙っていた。



「大丈夫だよ。警察は呼んだから、ここで待っておくといいよ。」



そばかす顏の五十嵐が校庭の外を眺めながら言った。



「え!そうなの!?」


オレを除く3人が喜んだ顔を五十嵐に向け、歓喜の声をあげた!!

「やったー!!」


得体の知れない2つの集団から解放される喜びで、3人は手を取り合って喜んでいた。




オレも確かに喜びはしたが、この教室に入った事をきっかけに気持ちが少し変わっていた。



給食費を盗んだ濡れ衣をかけられた「怒り」が、またフツフツと湧き上がっていたのだ。



五十嵐は皆が喜ぶ顔を見て微笑したが、すぐ表情が暗くなった。
外を見つめながら小声で言った。



「全ては、この学校で起きた『あの事件』のせいだ。あんな事さえ起きなければ。隠したりしなければ。」



五十嵐の一言に、3人は気付かなかったようだが、オレにははっきりと聞こえた。




「おい!それは誰かが給食費を盗んだ事件の事か!?」




五十嵐と3人は、思わず口走ったオレの大きな声に驚いた。



「どうした?野茂?」
猿が最初に口を開き、



「給食費を盗んだ事件って?」
石井が続けていい、



「まさか君!給食費を盗んだのかね?」
伊良部がヒステリックに言った。




「な!ちげーよ!オレは疑われているだけだ!

松井に今日呼ばれて、お前が盗んだろって言われたんだ!!」


石井に誤解されたくなかったオレは、必死に弁解した。



五十嵐がまた少し微笑して言った。

「おれが言ったのは、今回の先生が消えた事件のことだよ。でも興味深いね、その事件も。警察が来るまで15分。


君が犯人でなければ、給食費窃盗事件の事を教えてくれないか?」




そして五十嵐の誘導されるままに事件のあらましを伝えた。



−それは昨日今日の出来事だ。



当校の給食費は口座振替による毎月22日の自動引落し、もしくは、通知書を自宅に送付して金融機関に毎月支払う方法だ。



ただし例外はある。その親が給食費が払えない場合だ。



その場合は顧問の先生がその家に向かい、直接給食費を徴収する。そしてその給食費を回収した担任は、その日で学校の金庫に保管する。





今回のケースで特に変わった所がある。




昨日担任の松井が給食費を徴収した後、夜も遅かったために金庫に入れることができなかったことだ。そのせいで松井は今日金庫に入れるつもりだった。




今朝登校した松井は、朝のホームルームに教室に立ち寄ったが、その時に教室に給食費袋を忘れてしまう。



そしてそのまま体育教官室へ行き、1時間目と2時間目の体育の授業を受けた。給食費袋を教室に忘れたのに気づいたのは、3時間目。それから給食費を入れた袋の中が空である事に気付いた。




−これが事件のあらましだ。



「なるほどね。教室に忘れた時に誰かに盗まれたと思ったんだ。

それで、クラスで一番疑わしい君を呼び出したんだ。」



「うるせえ!伊良部!」


五十嵐が静かに尋ねた。


「なるほどね〜。給食費の袋には鍵は付いてるのかい?」

「鍵は付いていない」



「教室のどこに置き忘れたんだい?」


「教卓の引き出しらしい。」





途端に五十嵐は、今日の時間割表に目を通した。そして今回盗みがあったと思われる教卓の中を覗き込んんだ。



「なるほど、容疑者を3人に絞り込めたよ。」

「何!?誰だ、それは!?」



五十嵐の言葉に驚いた4人は、容疑者の名前に息を飲んだ。



「おい!誰なんだ!それは!!」



目を血走らせたオレとは対照に、
涼しい顔の五十嵐は教室の扉の方へフラフラと移動した。



「その前に到着したみたいだよ。」



ふと給食費窃盗事件で、警察が来ることになっていた事を忘れていた。



「警察が来たんだー!」猿が喜びの声をあげて扉に近づいた。





しかし、ガラッと扉を開くと、
そこには例の黒い集団が待ち構えていた。



「さ、みんな。大人しく捕まるんだよ。」



不気味な五十嵐の笑顔と共に、黒い集団が勢い良く教室に入ってきた。

☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆
以上!今日はここまで!!!
次週は「白の正体」!!
乞うご期待*\(^o^)/*

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